第139回東邦医学会例会教育講演:心筋架橋による心筋梗塞の発生
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
総説心筋架橋(myocardial bridge:MB)は,冠状動脈の走行途中の一部を心筋組織が被覆する解剖学的亜型である.MB は左冠状動脈前下行枝(left anterior descending coronary artery:LAD)に多く,その解剖学的特性(厚さ・長さ・開始位置)には個体差がある.心収縮期には,MB 自体の収縮によりLAD が圧迫され,血液の逆流が生じ,LAD 内血流の血行力学的変貌をまねき,同動脈の内膜硬化性病変の発生分布に影響する.すなわち,MB 開始位置より近位のLAD 内膜には粥状動脈硬化症の進展をみるが,MB 被覆部のLAD では逆にその発生・進展が抑制される.さらに,LAD 支配域の心筋梗塞剖検例の解析によると,MB は非梗塞例に比して有意に厚く長い傾向を示し,MB 入口より近位2 cm の位置のLAD 内膜に高度な内膜硬化性病変の集中が生じ,厚く長いMB は心筋梗塞発生の責任病変形成に寄与していることが判明した.本稿ではMB による心筋梗塞発生の機構について概説する.
- 2012-05-00
著者
関連論文
- IIB-11 Polyclonal LYVE-1抗体を用いた口腔扁平上皮癌におけるリンパ管の同定とその意義(腫瘍,一般演題発表,第46回日本組織細胞化学会総会・学術集会)
- 臍ポリープの2例
- 30.異所性膵組織を伴った臍ポリープの1例(一般演題,第41回日本小児外科学会関東甲信越地方会)
- 小腸リンパ管腫を伴った巨大腸間膜リンパ管腫の1小児例
- IB-28 TWIST遺伝子の発現とE-cadherinの分布(細胞間結合,一般演題発表,第46回日本組織細胞化学会総会・学術集会)
- 動脈硬化性大動脈における Apolipoprotein Jの分布と産生
- 左冠状動脈前下行枝における心筋架橋の病理解剖学的意義
- 心筋架橋による冠状動脈硬化抑制および心筋虚血
- 左冠状動脈前下行枝の内膜肥厚に及ぼす心筋架橋の解剖学的特性の影響
- 血管壁における螺旋型膠原線維
- 血行力学負荷時の脈管組織における膠原線維代謝および形態の変貌
- 術前の子宮内膜擦過細胞診で診断し得た子宮内膜間質肉腫の1例
- 中枢神経ループスの胸水中に出現したLE細胞の検討
- 螺旋型膠原線維とmatrix metalloproteinases (MMP_s)
- 上顎に発生したエナメル上皮腫の1例
- 隆起性および扁平瘢痕におけるアポトーシス関連抗原の発現
- 卵巣甲状腺腫性カルチノイドの1例
- 副腎骨髄脂肪腫の1例
- 教育講演(第139回東邦医学会例会) 心筋架橋による心筋梗塞の発生
- 第139回東邦医学会例会教育講演:心筋架橋による心筋梗塞の発生