天然放射性炭素C-14を用いたバイオ燃料の由来判別技術
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概要
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化石燃料を燃やすと、地下に固定された炭素成分が大気圏の二酸化炭素CO2総量を増加させることになるが、図1に示すように、大気圏CO2を吸収した植物由来のバイオ燃料は燃やしてもCO2総量を増加させない。温室効果ガス排出抑制のため、バイオエタノールを自動車燃料に混合するバイオ燃料の利用が推進されつつある。バイオ燃料は価格が高めとなることから、バイオマス比率を容易に評価できることが、優遇措置を想定した商業ベースでの普及の必須条件となる。天然の放射性炭素C-14は宇宙線起源であり、CO2の大気循環を通じて植物中に取り込まれる。その比放射能は、生成速度と壊変速度の関係から大まかには古今東西一定で約15dpm/gCとされている。一方、宇宙線の影響から隔絶された化石燃料では半減期5730年のC-14が壊変し尽くして含有量はほぼゼロである。この違いを利用してバイオ度を評価するが、現状では次の問題がある。(1)米国分析規格の評価法「燃焼ガスのCO2から計測試料を得る」手法は、あらゆる有機試料に対し有効であるが、高度な技術を必要とし、一般には普及しがたい。(2)当面、日本政府が推進する植物起源のエタノール3%混合ガソリンは計測試料中のC-14含有量が少なすぎ、定量は困難である。本研究では、対象をバイオエタノールガソリンに限定し、C-14含有量を簡易な濃縮操作だけで直接液体シンチレーション計測する技術の開発を試みた。水を使用してバイオガソリンからエタノール分を抽出することで、計測妨害物質の除去並びにエタノール分の濃縮を達成し、簡易な実用測定の途をつけたことを報告する。エタノールが水に可溶であり、ガソリン及び着色剤は水に不溶という物性の違いを利用したものである。
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