始めよう!ベイズ推定によるデータ解析
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概要
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近年、生態学のデータ解析においてベイズ統計学にもとづいた統計モデルのパラメータ推定(以降ベイズ推定)が盛んに用いられるようになってきている。ベイズ推定により得られる統計解析上の利点の代表的なものには、対象生物の遺伝的な差異や測定できない環境要因など、統制できない要因によって生じる場所差・個体差を柔軟に表現できることがある。それによって、明らかにしたい既知の要因の効果が適切に推定されることが期待できる。また、強力なパラメータ推定手法としてベイズ推定を活用することで、これまで難しかった生物の分散や個体群の成長といった生態学的プロセスを明示的にあつかう複雑な統計モデルの利用が可能になる。しかしその一方で、多くの生態学者にとってその自由度の高さがベイズ推定を用いる際の敷居の高さにつながっているという現状もある。生態学データヘの適用例の日本語による解説が非常に限られていることもベイズ推定の敷居を高くしている一因といえるだろう。本特集では生態学データヘのベイズ推定の適用例を紹介しながらその考え方をできるだけわかりやすく解説することをめざした。本特集がベイズ推定の「敷居の高さ」を少しでも解消する一助になれば幸いである。本稿では、特集記事の内容の理解をより容易にするために、ベイズ統計学における基本的な概念である「事前分布」と「階層化」についての簡単な解説を行なうこととしたい。
著者
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深澤 圭太
横浜国立大学環境情報学府:財団法人自然環境研究センター
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Fukasawa Keita
Graduate School Of Environment And Information Sciences Yokohama National University
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