〈原著〉AIDS関連中枢神経原発悪性リンパ腫の発生におけるリンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)の関与
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概要
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[抄録] HIV感染者は, Epstein-Barrウイルス(EBV)陽性の悪性リンパ腫を高率に発症し, 非HIV感染者に発症する悪性リンパ腫と比較すると節外性, 特に中枢神経原発の悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma, PCNSL)の頻度が高い.その機序を解明するため我々は, HIV感染者および健常者から, EBV陽性のBリンパ芽球細胞株(B-LCL)を樹立し, 細胞表面の接着分子の発現をフローサイトメーターで解析した.リンパ球機能関連抗原-1(lymphocyte function-associated antigen-1, LFA-1)のβ鎖であるCD18の発現は, HIV感染者由来のB-LCL(B-LCL_HIV)と健常者由来のB-LCL(B-LCL_N)の何れにおいても, EBV感染前のB細胞と比較して増強していた.また, B-LCL_HIVはB-LCL_NよりCD18を強く発現していた.B-LCL_<HIV>はB-LCL_Nに比較し, LFA-1のリガンドである細胞接着分子-1(intercellular adhesion molecule-1, ICAM-1)を発現するヒト頭部血管肉腫細胞株(ISO-HAS)により高率に接着した.CD18の発現強度と, ISO-HASの接着率は正に相関しており, 細胞接着にCD18が関与していることが示唆された.さらに, B-LCL_HIVの培養上清中では, B-LCL_Nの培養上清に比べIL-8が有意に増加しており, この培養上清を添加することでB-LCL_NのCD18発現が増強した.本研究は, AIDS関連悪性リンパ腫細胞が, EBVの活性化, さらにオートクラインあるいはパラクラインのIL-8の刺激により, CD18の発現を亢進し, 血管内皮細胞により強く接着する可能性を示唆するものである.
著者
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