日本産 Rhus 屬樹種の果實に於ける樹脂道の發生經過竝にその乳液の形成に就て
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概要
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The investigations on the development of resin canals and the formation of latex in the Rhus plants found in Japan are confined at present only to the leaf and stem of Rhus vernicifera. Having found that the fruit is better as material for such an investigation, I have made a study of the fruits collected from six species of Rhus plants found in Japan.1) 日本産Rhus屬樹種に於ては形成當時の極めて若き果實に特殊細胞の集團が存在し, その集團は離生的に小なる間隙を生じ, 果實の發育に從ひて先づ離生樹脂道を形成す。2) 何れの樹種の果實に於ても樹脂道發生の初期に於ては樹脂道の構造は互によく類似し, 猶又各樹種の果實にある樹脂道は各樹種の若き莖・根・葉及び花にある樹脂道に類するも, 果實が發育し樹脂道に柔膜細胞鞘を生ずるに至るや各樹種の果實の有する樹脂道としての特徴を有するに至る。3) ツタウルシの若き果實にありては樹脂道の柔膜細胞鞘組織中にある小なる樹脂道と初めより存する大なる樹脂道とが合して極めて大なる樹脂道を形成す。4) ツタウルシの發育せる果實に於ては樹脂道の著しき發達のために内果皮の發育が妨げられ内果皮の外側部の各所に凹所を生じ形態上の畸形を生ず。5) 發育せるツタウルシの果實にありては柔膜細胞鞘の内方部にある多くの細胞は粗に配列し, 横斷面に於て略々圓形を呈し多くの顆粒状物質を有す。これ等の細胞は單獨若くば集團的に分離するものあり。分離に近き細胞は内容物質が塊状となり樹脂道内にめるものと同一反應を呈し, 分離後乳液を形成す。6) ヤマウルシ, ヤマハゼ, ウルシノキ及びヌルデの果實にありては長く上皮細胞によりて樹脂道内の乳液は分泌せらるゝも, 蝋分發生の頃より果實の成熟に至るまでの間に樹脂道が破生的となり, 樹脂道の周邊にある細胞が漸次破壞溶解して乳液を形成するに至る。
- 九州帝國大學農學部の論文
九州帝國大學農學部 | 論文
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