日本産 Rhus 屬樹種の有する樹脂道の分布並に構造に就て
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概要
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The detailed anatomical investigation of the resin canal in the Rhus plants found in Japan is almost limited to Rhus vernicifera at present, therefore I will now describe my investigation on the distribution and construction of the resin canal of the six species of the Rhus plants in Japan (R. succedanea, R. sylvestris, R. vernicifera, R. trichocarpa, R. Toxicodendron var. vulgaris and R. semialata var. Osbeckii).1) 各樹種とも葉は維管束の通ずる所すべて篩管部に樹脂道を有し, 葉枕は最も多く, それより小葉柄, 中肋, 側脈及び細脈となるに從ひて樹脂道の數を減じ, 細脈には普通1個存在するのみなり。2) 發芽せる幼植物の莖は各樹種とも4個の樹脂道を有すれども, 萠芽せる莖は一定斷面積に對し割合に多くの樹脂道を有す。老莖の靱皮の舊生部に於ては一定斷面積内にある樹脂道はその數を増さざるも, 靱皮の新生部には多くの小なる樹脂道を生ず。3) 各樹種の極めて若き根は4個の樹脂道を有するも, 古き根は大となるに從ひて靱皮の新生部に多くの樹脂道を生ず。4) 各樹種の花の蕚及び花瓣は維管束の篩管部内に樹脂道を有す。雄蕊及び雌蕊にも樹脂道を有するも, 葯及び柱頭内にはこれを有せず。5) 各樹種の發育せる果實の中果皮に於ては何れも多くの樹脂道が存在し, 果實の基部より花柱痕に向ひて竝行的に走る。6) 篩管部若くば靱皮部にある樹脂道は如何なる部分にありても維管束に竝行的に走るも, 體内にあるものは往々網状となる。7) 根, 葉, 葉及び花にありては樹脂道の横斷面は圓形若くば楕圓形をなし,上皮細胞及び其の周邊にある細胞は小なる薄膜柔細胞なり。果實にある樹脂道はその周邊に柔膜細胞鞘を有し, ハゼノキ, ヤマハゼノキ及びウルシノキは柔膜細胞鞘が殊に大にして, 鞘内の細胞も中果皮の他の柔組織細胞に比して著しく大なり。
- 九州帝國大學農學部の論文
九州帝國大學農學部 | 論文
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