要水量研究場面に於ける組織粉末法の利用
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概要
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Since the " powder method " was introduced by KOKETSU(1924) in plant physiology, many papers about the usefulness of this method in several fields of study were published by himself, his coworkers and others. The present research was undertaken to ascertain further its usefulness in studying water requirement. The material used was rice plants cultivated in pots under different conditions of soil moisture, soil fertilizer and given sun light. The water requirement at the early stage of development of materials only was studied in this case; and its values were given not only by the amount of water transpired or absorbed per unit weight of dry matter, but also by the amount per unit volume of dry matter or dried tissue powder, and further by that per unit weight of ash.1. 本研究は土壤内含水度・含肥度或は日光照射度を異にして育てられた稻を材料とし, その發育初期に於ける要水量或は蒸散效果が環境條件の量的變化に對磨して變異する點に着眼し, その變異度を示すに當り, 如何なる表示法を以てするのが合目的であるかを, 攻究したものである。2. 要水量或は蒸散效果の表示法としては, 從來普通に行はれた對乾量法に加ふるに, 對粉末容積法・對生量法及び對灰分量法を試みたのであるが, 就中對乾量法と對粉末容積法との比較を行ふを以て本研究の主眼とし, 對生量法に至つては, 理論及び實驗結果から見て明瞭に意味少きものとして, 之を放棄して成績併記による問題の不必要なる複雜化を避けた。併し對灰分量法の成績に至りては, 參照材料として意味少なからざるを認めたので, 之を附記する事にした。3. 要水量或は蒸散效果は環境條件の量的相違に伴つて, 著しく變異するものであつて, 之が變異の程度は之を表示する方法の異なるに從つて, 可なりの程度に異なるを見る。故に茲に表示法の吟味に關する考慮が必要となる。4. 要水量或は蒸散效果の表示は, 對乾量法・對粉末容積法・對生量法・對灰分量法等により得るのであるが, それぞれの表示にはそれぞれ獨自の意味があるのであるから, 或る特定の意味を持つた要水量が攻究される場合には, それに對應する唯一の表示法があるのみである。斯かる場合には, 表示法の優劣問題は起らない。5. 要水量或は蒸散效果が植物體乾燥物質の一定量生産に要する水量の問題として取扱はれた場合には, 生産物としての乾物を重量を以て表すか容積を以て表はすかの問題が起り, 茲にその表示法に關する對乾量法と對粉末容積法との優劣問題が起る事となる。6. 本研究に於ける實驗結果によれば, 試みられた總ての場合に於で, 發育條件の相違に件つて比較材料間に生長相の變異あるところ, 如上の意味にて要水量が比較されるためには, 對乾量法によるよりも對粉末容積法によるのが優るとの決論に達した。そは一に對乾量表示法には明かに比較材料の乾燥物質の比重の相違に由來する表示上の誤差が含まれてゐるからである。7. されば要水量研究場面に於ける組織粉末法の利用は, 生産乾物の一定容積生産に要する水量の意味にて攻究される場合には言ふまでもなく, 生産物の一定の大きさの生産に要する水量てふ一般的な意味に要水量が云々される場合に於ても, 最も有數に利用し得るものなる事が證明された譯である。8. 環境を異にする事によつて, それぞれの表示法から見た容水量その物が如何に變異するかの究明は, 本研究の主要目的では無いのであるから, それには深く言及しなかつた。
- 九州帝國大學農學部の論文
- 1936-12-00
九州帝國大學農學部 | 論文
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