植物體内物質含有量測定に「組織粉末法」を利用する事の效果に就て : IV. 生理的又は生態的條件を異にする植物體に於ける灰分含有量の比較測定
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概要
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Es wurde der Aschengehalt des Pflanzenkorpers and zwar hauptsachlich der des Blattes unter verschiedenen I,ebensbedingungen vergleichend bestimmt, and der Gehalt sowohl in Prozenten des Trockengewichtes and des Frischgewichtes als auch in dem Gehalt pro Einheit-Volumen Gewebepulver angegeben, um festzustellen, welche Data Rix tins die zweckmassigsten sind. Die Beurteilung geschah in der Weise, dass die durch die drei verschiedenen Methoden erhaltenen Data alle auf ein bestimmtes Standard-Material reduziert wurden.1) 此研究は體内的及び體外的に條件を異にした植物體, 主に其葉に含有せらるゝ灰分含有量を比較する場合, 對乾量百分率・對生量百分率及び一定容積の組織粉末内に含有される量による三つの測定表示法の何れに從つたのが目的に叶つて居るかを知らんがために行つたものである。2) 測定結果によると, 或る一つの比較測定の場合に, 何時も三法三樣の結果が出て, 其儘では何れの結果によるぺきかが不明であるが, 對乾量法によつた表示の結果には, 材料の乾燥物質の比重の差に由來する表示上の誤差があり, 對生量法によつた表示の結果には, 一定不變の單位に謝する生量即ち生物質比重の差異に由來する表示上の誤差があるのであるから, それを修正する必要があり, 修正の結果は, 對乾量法及び對生量法何れによつた場合でも, 對粉末容積法によつた結果に近似するのであって, 從つて三表示法の中對粉末容積法によつた結果が最も信用が出來る事が知られる。3) 修正の方法は, 先づ三表示法によつた結果の相互の間の比較を便利にするために, 何れも一定材料の價又は各材料の價の平均値に對する比數に換算し, 比數の上の修正を行つたのであつて, 對乾量法の場合ならば, 材料の組織粉末の一定容積の重量(乾物比量)の比數が, 標準値から變異する偏差の度, 對生量法の場合ならば, 同樣組織粉未の一定容積に相當する生量(生比量)の比數が, 標準値から變異する偏差の度を修正基礎とし, それがd%である場合, 對乾量法又は對生量法によつて測定表示された價の比數には, 結局d%だけの誤差が含まれて居るといふ考の下に, それだけを加減法によつて除去したのである。即ち其修正法を式で示して見ると : R±dR : 4) 此修正法の基礎は對粉末容積法に從つて表示された乾物比量又は生比量の偏差に置かれてあるので, 結局は對粉末容積法によつて測定表示されたものに換算するのと同じ意味の事に歸着するのであつて, 修正の結果が對粉末法によつた結果に等しくなつて來るのは, 數の上に於て當然な事であって, 結果に於ては修正では無くて單なる換算に過ぎない樣に見えるが, 修正の根本精神は最も合理的な比量に於ける偏差を求め,そ れに由來する表示上の誤差だけを修正するにあるのであり, 修正した結果が數の上の換算と同一意義を持つのは, 用ひられた修正法が合理的なものである事を示すに外ならぬ。5) 比較が行はれたのは (1) 發育程度を異にした葉, (2) 同一植物の葉と莖, (3) 陰地と陽地とに生育する同種植物の葉, (4) 内地と海岸とに生育する同種植物の葉, (5) 同一場所に生育する異種植物の葉, (6) 種々の條件の地に生育する異種植物の葉に於ける六つの場合であつて, 何れの場合に於ても, 對粉末容積法に從つた測定結果は, 生理的及び生態的見地から見て, 充分意義ある結果を示して居り, 此測定表示法に從つて, 此種の研究を更に立ち入って研究する事 は,極めて有意義である事を示して居る。6) 結果の比較は總て比數によつて行はれたのであるが, 比數は共標準の取り方によつて, 夫々異つた意味を示すものであるから, 與へられた場合の比數の標準の取り方には, 相當の考慮を要する。尚, 或る一つの場合の比較には, 共場に都合のよい標準を取ればよい譯であるが, 異つた場合に於ける結果を一所にして比較せんとする場合には, 當然共通な標準に對する比數を算出するを要する譯で, 若しそれを更に押し廣めて, あらゆる場合に共通な標準を定めて置けば, 比較の效力の及ぶ場面が廣くなる筈である。此考に從つて, 用ひられた種々生態の105種の材料の葉内灰分含有量の平均價が, 組織粉末 100c.c. に對して略 7.03g であつたので, 假に之を以て標準値と認め, 各材料植物に樹する値の比數を算出して見た。此標準が理想的なるや否やは將來に俟たねば判らぬのであるが, 共通的比較法の一方便として, 此種の標準値を灰分・水分其他種々の物質の含有量に就て公定して置く事の便利を主張する前提として試みられたのである。
- 九州帝國大學農學部の論文
- 1928-12-00
九州帝國大學農學部 | 論文
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