D.W.ウィニコットの『ピグル』に関する海外文献の概観 : ピグルの症状をめぐる背景要因に焦点を当てて
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概要
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本論文ではD.W.ウィニコットの『ピグル』に関する海外の先行研究を概観した。なかでも先行研究の争点であるクライエントの症状の背景要因に焦点を当てた。先行研究が提出する背景要因の仮説は、①妹の誕生、②母親の民族的背景、③父親による性的虐待、④母親の心理的問題の4つに分類できると考え、それぞれを検討した。その結果、妹の誕生を中心とした多要因の影響が妥当と考えられた。最後に、ウィニコットの背景要因に関する柔軟な考えを検討し、次のような特徴をもつことを推測した。それらは、①背景要因はさまざまな説明が可能である、②背景要因を無理に整合性のある体系にせず、矛盾する要因も含めたまま緩やかに理解する、③症状の背景要因に関する綿密な情報収集により仮説を固めることで治療者と治療プロセスを縛るのを避ける、④背景要因の理解は治療場面でクライエントとの相互作用の中でクライエントに形成されることを重視する、である。
- 2011-03-01
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