新規バブルジェット式霧化装置を用いたインスリンの経気道的投与
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概要
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本実験で我々は, キヤノン株式会社がインクジェットプリンター技術を応用して開発した, 新規バブルジェット式霧化装置を用いてインスリンの経気道的投与を試みた. 本実験の目的は, この新規霧化装置を用いて正常ラットに吸入インスリンを投与し, その血糖降下作用の有効性を確認することである. 実験方法 : バブルジェット式霧化装置を用いて, Wistar ラットに吸入インスリン(15U/kg), またはインスリンを含まないコントロール溶液を気管内投与した. インスリンまたはコントロール溶液投与後, 0, 10, 20, 30, 60, 90, 120分の血糖値を測定した. 実験結果 : 吸入インスリン群の血糖値は63 ± 10mg/dl(20 分), 43 ± 8mg/dl(60 分), 35 ±9mg/dl(120分)であった. 一方, コントロール溶液群の血糖値は80± 9mg/dl(p = 0.016), 75±10mg/dl(p < 0.001), 85 ± 27mg/dl(p < 0.001)であった. 吸入インスリン群の血糖値は, 0分と10分を除き全ての測定値においてコントロール溶液群より有意に低かった(p < 0.001). 結論 : 我々は新規バブルジェット式霧化装置を用いた吸入インスリンの投与において, その血糖降下作用の有効性を確認した. これらの結果より, 新規装置はその生物活性を失うことなくインスリンを霧化できることが証明された.In this study, we attempted to perform inhalative administration of insulin using a newwbubble jetxatomization device based on ink jet printing technology and developed by Canon Inc. The aim of this study was to confirm the usefulness of the new device for achieving a hypoglycemic effect by insulin inhalation in normal rats. Methods : Inhaled insulin (15 U/kg) or a control solution without insulin was administrated to each Wistar rat intratracheally using the bubble-jet atomization device. Blood glucose concentrations were measured at 0, 10, 20, 30, 60, 90 and 120 min after administration of insulin or control solution. Results : The blood glucose concentrations in the inhaled insulin group were 63 ±10 mg/dl (20 min), 43 ± 8 mg/dl (60 min) and 35 ± 9 mg/dl (120 min), while those in the control solution group were 80±9 mg/dl (p = 0.016), 75 ± 10 mg/dl (p < 0.001) and 85 ± 27 mg/dl (p < 0.001). The blood glucose concentrations after administration of inhaled insulin were significantly lower than those after administration of control solution at all time points (p < 0.05) except 0 and 10 min. Conclusions : We confirmed the hypoglycemic effect of inhaled insulin using the new bubble jet atomization device. These results proved that the new device could atomize insulin while maintaining its bioactivity.
- 2011-06-25
著者
-
福山 聡
九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
-
福山 聡
九州大学病院呼吸器科
-
中垣 憲明
九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
-
中垣 憲明
九州大学胸部疾患研究室
-
福山 聡
九州大学大学院医学研究院付属胸部疾患研究施設
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