文法規則の組織化と学習(IX) ―指標のアドレス化―
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概要
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現在、学生が関心を寄せる文法現象に「指示性」の問題がある。これは、従来の名詞表現を含みつつそれを超えるカテゴリーの存在を志向する動きであると考えられる。指示機能はもっぱら言及性を持つ要素によって担われるが、実体を欠く指示機能だけの指標が、構造変化の過程の中で文法項目の関係の成立に貢献する。この相互依存関係の成立を、本論考では「アドレス化」と呼び、①移動変形に伴う回路の形態変化、②差し向けの機能しか持たない指標が、格(Case)を付与されることによって実体化する姿、③移動が常に最も短い回路を切り拓く経済性について、具体的な授業化に向けて背景理論の構築を試みる。
- 奈良教育大学教育研究所の論文
- 1995-03-01