非正規雇用の二層構造(<特集>「労働」と「格差」)
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概要
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日本における非正規雇用問題は複雑だが, その現状を適切に把握するには, 非正規雇用・就業の多様性に着目し, それら雇用・就業形態相互の関係を明らかにすることが必要である. すなわち, 1)自営業セクターが縮小し, 非正規雇用が拡大したというこの間の変化は, 雇用・就業における格差の拡大というよりは, 格差の形態変化と見るべき部分が少なくないこと, 2)2001年前後における統計上の非正規雇用急増の一部は, 調査票の変更による過大評価であること, 3)パート・アルバイトなど短時間就業中心型の非正規雇用と異なるフルタイム型非正規雇用として契約社員・派遣社員の割合が高まっていることなどを指摘する. そして, 政策上喫緊の課題となっているのは後者の契約社員・派遣社員グループであり, その処遇をいかに改善していくかが重要である. そのために, 最低賃金制度を活用する可能性を示唆する.This paper deals with non-regular employment in contemporary Japan. It is critical to understand complex structures of employment categories in the labor market and properly grasp the relationships among those categories. It reveals: 1) Increase of non-regular employees is in large part the results of declining self-employed sector. 2) Sudden rise of the share of non-regular employees in 2001 is partly due to a change of questionnaire in key employment statisitics, 3) The share of fulltime-type non-regular employees such as 'limited-term contract workers'or agency temporary workers is increasing compared to the parttime-type non-regular employees such as 'Paato'or 'Arubaito'. The policy focus should be on the former type. The paper suggests that one option to improve the conditions of those new type of non-regular workers could be revision of minimum wage system.
- 2011-03-15
著者
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