1946年の海員争議 : 「終身雇用」慣行の歴史的起源に関する一考察(<特集>労働組合研究)
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概要
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いわゆる日本的労使関係システムの歴史的形成について,戦後期における労使政府当事者の対抗と秩序形成を重視する立場から,1946年秋の海員争議の意義を明らかにする.この争議は,戦後の日本の労働組合運動の特徴ともいえる大規模な解雇反対ストライキの最初のものであり,そこにいわゆる終身雇用慣行成立の出発点を見いだすことができる.経済的にも政治的にも極めて困難な状況のもとで開始されたこの争議は,内部分裂による組織的混乱を招きながらも,合理的予想では考えにくい勝利を収め,その後の労働運動と労使関係,さらには海運業や日本経済の復興にも大きな影響を与えることになった.その理由として,この解雇反対闘争が,戦時における海員たちの体験にもとづく強い主体性意識に支えられ,また「完全雇用」を旗印とした世界的な改革の動きに同調して展開されたことが重要であるというのが本稿の主張である.
- 東京大学の論文
- 2004-11-12
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