「情報のなわばり理論」における「のだ」の位置づけ
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概要
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本稿では、従来神尾(2002)が不可能としてきた「情報のなわ張り理論」における「のだ」文の位置づけを改めて考察する。日本語の文末形式「のだ」は、文の情報が話し手のなわ張りに属することを示す直接形や、逆に話し手のなわ張りに属さないことを示す間接形等の文末形式とは異なる機能を持ち、「情報のなわ張り理論」での位置づけは難しいとされていた。これに対して本稿では、文の情報が話し手のなわ張りに属していることを表す機能が「のだ」にあり、したがって「情報のなわ張り理論」においても位置づけが可能であることを述べる。同じく情報が話し手のなわ張り内にあることを示す直接形と「のだ」の違いは以下の点にある。直接形の文では、ある情報が話し手のなわ張り内にあるという話し手の判断が客観的視点からも成り立つと認められなければ、文が不自然になる。一方「のだ」文では、情報が話し手のなわ張り内に属するかどうかの判断を客観的な視点からは必要としない。あくまで話し手の主観的判断で情報が話し手のなわ張り内にあることを示す。「のだ」が間接形とともに用いられる場合がある理由も、「客観的には話し手のなわ張りに属さないと思われる情報を話し手の主観的判断によって自身のなわ張りに属する」ことを示すと考えれば矛盾はない。「情報のなわ張り理論」における「のだ」の位置づけは、これまで様々な視点から記述されてきた「のだ」の機能をより明確にするきっかけになると思われる。This paper aims to explore the function of no-da in the model of Kamio's (2002) theory of territory of information. Two reasons why no-da cannot be located in this model have been offered by Kamio (2002). We re-examine these reasons and claim that information of no-da sentences is indeed located in the speaker's territory. Though direct forms are also used to indicate that information is in the speaker's territory, there is a difference between no-da and direct forms. Information expressed by direct forms indicates an objective judgment that the information meets the conditions to be in the speaker's territory. On the other hand, no-da indicates that the information is in the speaker's territory based on the speaker's subjective judgment. There is thus no necessity for information in no-da sentences to meet the conditions which are needed for information with direct forms. This function of no-da also allows no-da to be used in sentences with indirect forms. No-da with indirect forms indicates that information supposed to be out of the speaker's territory is in speaker's territory by his/her judgment. From the above discussion we conclude that no-da can indeed be located in the model of territory of information.
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