日本語学習者は語末の[t/d] をどう開音節化するか
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概要
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外国語(主として英語)が日本語の体系に外来語として取り込まれる際に適用される日本語化規則の習得過程を調べるために、「英単語を見て、日本語の外来語としてかたかなで、表記する」という調査を実施した。本稿では、このうち、米国の大学で日本語を学ぶ初級学習者(60名)を対象とする調査の結果を取り上げ、単語末の[t]、[d] の開音節化について考察した。語末に[t/d]をもつ調査語(5語/4語)に対する解答がどれだけ一貫しているかによって、被験者を3つのグループにわけ、分散分析を行った。その結果、各グループ間には1%水準で有意差が認められ、正答であれ誤答であれ解答に一貫性がみられる被験者は、開音節化規則全体の得点も高いことが検証された。これは、日本語学習者にとっての外来語の習得というものが、個別的な単語の暗記-即ち語彙数の増加-ではなく、日本語化規則の体系を自己の中に構築しながら進んでいくプロセスであることを意味している。This study focusses on the question of how learners of Japanese syllabify English word-final [t/d] in Japanese loanwords. A test requiring 48 English words to be rendered in katakana was conducted with 60 native speakers of English enrolled in elementary Japanese classes. Three groups of subjects were identified on the basis of their responses. Answers were processsed by personal computer. A statistically significant difference at a level of 1% was found between the three groups, and subjects who answered consistently, whether correctly or incorrectly, were shown to score highly on all syllabification rules. This finding shows that the acquisition of loanwords by learners of Japanese does not proceed through word-by-word memorization, but through the construction of a system of Japanization rules.
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北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Center | 論文
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