福徳: その心の考古学
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概要
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福徳、それはこの世にある人々がひとしく求めるものである。人が人として息づき、その求めて至る究極の地平に至福があり、至徳があることは、古くより人々がひとしく確信してきたところである。福徳を得る、その途にはいくつもの道程があろう。人の世に顕れ出るまでに善業を積み、人より以上に苛行をなし施福をなす、そうした必死の行為の根底にも「福徳」への想ひが垣間見えるし、また一時の投機というべきものではあっても捨財し捨身する行為の根底にも「福徳」欣求の想ひが漂う。求めて「福徳」に至る、その複雑な道程も、要約すれはこうした二っの在り方を両極として、その間を揺れうごく道行きに他ならないのである。こうした福徳を求める心根を追い、時を遡ると遥か飛鳥、天平の世にまで至ることが出来る。考占学の世界がこの世に送る資料、こうした資料のいくつかがそうした心根を語るのである。福徳-その考古学が語るところを記すこととしょう。
- 奈良大学文学部文化財学科の論文