「生活の質」評価に関する一考察
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概要
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研究ノート高齢化の進展など大きな社会変化が予想される中で、地方自治体の効率的で的確な政策運営を目指し、住民の視点から地域の「豊かさ」や地域住民状態を把握することがますます重要になっているものと考えられる。本稿では、それを把握するための一つの方法として「生活の質」指標について検討する。地域の「豊かさ」や住民の厚生を示す「生活の質」は、人々の主観的な満足度の集合という性質上、直接的には経済価値として表すことができない。そのために評価が困難で、未だ確立された評価手法はない。この問題に対する取り組みは比較的古く、1960 年後半から社会学的アプローチによる指標開発が行われてきたが、現在ではこうした取り組みがほとんど見られなくなっている。第2章では、この分野で行われた研究成果を概観するとともに、取り組みが沈滞化した原因について検討する。これに対して、近年では経済学の分野における非経済価値である環境評価手法が発展し、その中に「生活の質」を評価しようとした試みが見られる。第3章では、その取り組みを代表するものとして[Roback 82]を取り上げ、その有効性について検討を加える。結論として、現状における環境評価アプローチは社会学的なアプローチで指摘された問題点を完全に克服できるわけではないものと考えられるが、「生活の質」評価の必要性が高いことから、問題点を克服しつつ今後も研究を進めていく意義は大きいものと考えられる。
- 同志社大学大学院総合政策科学会の論文
同志社大学大学院総合政策科学会 | 論文
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