従業員を活かす組織づくりの要請―モチベーションを核とした組織と個人の新たな関係―
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概要
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論説人生の漠々たる時間を費やす組織。クーンツ=オドンネル(H. Koontz and C. O'Donnell)による古典的なマネジメントの定義は“g e t t i n g things done through the people"であり、働く人々の理解と掌握が鍵になっていることを示唆している。しかし、バブル崩壊後の人を置き去りにした人事システムや組織のあり方は、どうだったのか。また、それを背景に台頭してきた個人主義の議論-組織から組織を渡り歩いて脈絡のあるキャリアを形成する-は、行き過ぎてはいないのか。仮にワーカーが転職を繰り返す社会になったとき、組織に創造性や競争力が、はたしてもたらされるのか。本稿の根底には、このような問題意識が流れている。転職を前提にした組織ではなく、個人の軸足となるような、人を活かす魅力ある組織について考察することが本稿の目的である。具体的にはブルームの期待理論に、ハーズバーグの動機づけ-衛生理論を統合する試みを行い、人を活かす組織の枠組みとなる概念を提示したうえで、モチベーション理論に準拠しつつ、個人が働きがいを感じる組織の要件を、(1)個の自律の支援と、(2)コラボレーション組織に求め検討を加える。そして、それらをとおして、個人と組織のかかわりについて、新たな展開を模索したい。
- 2004-12-17