中高年者における長期間のトレーニングが生理機能に及ぼす影響 : 30年間の縦断的観察
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概要
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運動習慣の実践がVO2maxを中心とした生理機能にどのような影響を及ぼすかを明らかにするため、30年間にわたる縦断的観察を試みた。被験者は開始時の年齢が32歳と38歳の健康な男性2名である。運動処方は原則として次のように設定した。すなわち1回20分以上、週5日、強度はVO2maxの60~70%のジョギングとした。30年間の運動回数は8722回と8805回であった。この間1年に1回、同時期に最大運動を負荷して生理機能の反応を測定した。その結果、VO2maxは両者ともトレーニング継続にもかかわらず漸減し、低下率は10年で11~13%、20年で16~19%、そして30年(1名28年)では26~27%であった。最大HRも30年経過時では約10%の低下を認めた。このように長期間にわたって運動を継続してもVO2maxの低下は避けられず、加齢による生理機能の老化現象がトレーニングの効果を上回っているものと考えられる。しかし、トレーニングによって生理機能の低下水準をある程度抑制することは可能であると推察した。 : Longitudinal investigation for 30 years was performed to study the effects of aerobic training on the physiological properties, such as the level of maximum oxygen consumption (VO_2 max). Two healthy men with the age of 32 and 38 years old, when the study was initiated, participated as the subjects. Jogging exercise at the intensity of 60-70% of V0_2 max was generally performed for more than 20 min/day, 5 days a week. The numbers of exercise performed during 30 years were 8722 and 8805, respectively. Physiological responses to exhaustive exercise were investigated every year. Even though the daily training was maintained, the levels of V0_2 max in both subjects gradually decreased ; 11-13%, 16-19%, and 26-27% after 10, 20, and 30 (28 in one subject) years, respectively. The maximum heart rate also tended to decrease by-10% after 30 years. It is suggested that the aging-related decreases of V0_2 max and maximum heart rate can not be prevented by the daily exercise training at a mild intensity. However, it was speculated that the rate of aging-related decline of physiological properties could be inhibited by daily exercise training.
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