≪フィガロの結婚≫の「手紙の二重唱」再論 : モーツアルトの自筆譜にみる作曲の経緯
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概要
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筆者はかつて、本誌第25巻第2号掲載の拙稿において、モーツアルトの≪フィガロの結婚≫の第3幕で歌われる、いわゆる「手紙の二重唱」について考察を行い、これがこのオペラ特有の劇的な意味合いをもつ二重唱となっているのは、作曲者が台本作者ダ・ポンテから渡された歌詞に積極的な解釈を施して付曲した結果であると結論づけた。本稿では、拙稿の執筆時にはできなかった、この二重唱に関連する自筆譜の検討を行う。現在の自筆譜資料としては、最終稿が収められている総譜の冊子の他、「手紙の二重唱」のスケッチが記された単独の五線紙があり、それらから、二重唱を導くレチダティーヴォの歌詞が作曲の途上で変化していったことが確認できる。本稿では、拙稿における結論が、そういった資料の状況と少なくとも矛盾はせず、むしろ、資料が提起する問題を無理なく説明することを示し、「手紙の二重唱」の作曲の経緯について1つの仮説を提示する。 In this paper, I examine Mozart’s autograph of the so-called “letter duet” in Le nozze di Figaro, in order to make clear that what the autograph indicates about the compositional process of the duet doesn’t contradict the conclusion of a paper of mine printed in an earlier issue of this bulletin(vol.25, no.2).
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