日本の図書館目録における書誌的家系--J-BISCにおける調査と先行研究との比較分析
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概要
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原著論文【目的】 近年、情報検索の対象として、「著作」への関心が高まっている。 本稿の目的は、日本の図書館目録に現れる著作における著作のつながり、「書誌的家系」の実態を明らかにすることである。 【方法】 日本の図書館目録に現れる書誌的家系を明らかにするために、J-BISCからの著作の標本を用いた調査を行った。 具体的な調査課題として 1) 日本の図書館目録に現れる著作のなかで派生をもつ割合はどれくらいか 2) 書誌的家系の大きさはどれくらいか 3) それぞれの派生の関係種別の出現頻度はどれくらいか 4) 先行研究と比較して日本の図書館目録に現れる書誌的家系に固有の特徴はあるのか、の四つを設定した。 2005年1月までにJ-BISCに収録されたデータを標本の抽出枠として、669件の著作を含んだ標本を構築した。 標本に含まれた各著作に対して、NDL-OPACと、Webcat Plusとを用いて、書誌的家系を構成する著作を探索した。 また日本の図書館目録に現れる書誌的家系の特徴を明らかにするために、先行研究の結果との比較分析を行った。【結果】 調査から、J-BISCに現れる書誌的家系は1) 25.9%に派生著作が存在すること、 2) 平均的な大きさは1.80で、小規模な書誌的家系が多いこと、 3) 派生の関係種別の63.6%が継続派生で単純な家系が多いことがわかった。 この調査から、日本の図書館目録においても、書誌的家系のつながりが存在し 、それらを図書館目録に導入することの有用性が明らかになった。 これまで欧米で行われてきた五つの先行研究との比較から、 本調査での結果がこれまでの書誌ユーティリティを用いた調査と同様の傾向を示しており、書誌的家系という著作の現象が、地域や言語に縛られない「普遍性」 をもつことが明らかになった。 Library and Information Science No. 61 2009
著者
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