コムギ属植物における穀粒のフェノ-ル反応の変異およびフェノ-ル反応に関与する遺伝子の座乗染色体
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概要
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1. コムギ属における穀粒のフェノールによる着色反応を調査した結果、二粒系コムギでは着色する系統としない系統が存在するが、普通系コムギでは3,200以上の品種を供試したにもかかわらず、穀粒がフェノールによって着色しない系統は見いだされなかった。合成コムギ(AABBDD)にはフェノールによって着色しない系統が見出された。2. 異数体分析によって普通系コムギの穀粒のフェノール反応を支配する遺伝子が2Aと2D染色体に座乗することが明らかになり、2B染色体にも穀粒のフェノール反応を支配する遺伝子の存在が認められ、コムギの第2同祖群の全ての染色体にフェノール反応遺伝子が存在することが確かめられた。3. フェノール反応遺伝子と無葉耳遺伝子が見出されているイネ科植物の染色体の同祖性について考察した。A total of 3,606 accessions of the genus Triticum involving diploid, tetraploid, hexaploid, and synthetic wheat and 7 Aegilops materials were tested for the phenol reaction in kernels. All hexaploid wheat showed a positive reaction to phenol, but deffered in staining degree. One of the synthetic wheat lines showed a negative reaction to phenol. Using monosomics, ditelosomics and nulli-tetrasomics in the common wheat cv Chinese Spring (Triticum aestivum L.), and Langdon (Triticum turgidum var. durum) disomic substitutions, genes controlling phenol reaction of kernels were located on chromosomes 2A, 2B and 2D. Synteny of the chromosome region involving the phenol reaction gene in some gramineous plants was discussed.
- 岡山大学資源生物科学研究所の論文
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