マツタケ施業林分の環境因子解析に関する研究 (第1報)施業による林分構成および林内照度の変化とマツタケ収量との関係について
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概要
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従来マツタケの発生するアカマツ林に対するマツタケ増殖施業は,マツタケ生産者によって考えられ,経験的に行われて来た.その結果アカマツ林の間伐,灌木の整理,林地表土のかき起し等がマツタケ発生に良い効果を与えるということが認められている.しかしこの施業の効果について実験的裏付けに欠けるところが多い.筆者等は1963年以来マツタケ施業林分の環境因子の解析を行なって来たが,この報告では次の施業すなわち(1)下層灌木類の被陰調節作業(2)林地表土のかき起し作業,を行ったマツタケの発生するアカマツ林で,施業の結果林分構成および林内照度が如何に変化し,マツタケ収量に如何なる影響を与えたかについて検討した.その結果は次の通りである.1.この林分は山陽地方における代表的なマツタケの発生するアカマツ林の一つで,林型はK(II)型に該当する.即ち林分の垂直的構成は高木層アカマツ,亜高木層は少く,乾性の灌木層が密生する.これらの特徴は表3,図3に示されている.2.施業区と対照区の林分構成の相違は表3,4および図3,4に示される通りである.施業林分は灌木類の37%を除伐した.その結果植生繁茂期(8月)に施業林分の被覆面積は対照林分の約70%になっている.従ってこの施業によって林内の微細気象はかなり変化し,林内照度はもちろん極部的に気温,地温,湿度等に影響を与える.3.年間の林内照度の移り変りについて,対照区と施業区とを対比して示したのが図5である.両者の間に大差の認められるのは7~9月で,これは灌木層の繁茂期と一致する.4.施業によってマツタケ収量が影響されたかをみるため,対照区における菌環直径と子実体発生本数の回帰を求め,図6に示されるような回帰直線を求めた.すなわち自然状態では両者間には一つの法則性が認められるが,施業によって法則性が乱れ,子実体の発生本数が増加した。
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