バイオテクノロジーと遺伝資源に関連する知的所有権に対する民間の意識調査
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概要
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継続後誌:近畿大学先端技術総合研究所紀要 = Memoirs of Institute of Advanced Technology, Kinki Universityバイオテクノロジーの応用範囲は広く、農業、食品、化学、医療、工業と多種多様な分野に及び、大きな利益を生み出している。それゆえに多くの問題を抱えており、そのひとつが生命に対する特許の問題である。 この問題に対して一般の人々がどういった認識や意見を持っているのかを調べるアンケートを行った。対象となったのは、学生を含む一般市民1389名である。もちろん一般の人にはなじみの薄い問題なので、簡単な情報 (賛成派、反対派の意見、技術の説明)を与えた後、質問を行った。その結果、一般市民の反応は、特許に対し否定的であった。しかし「賛成できない」という意見が大半で、反対者は少なかった。また賛成者と反対派では回答者の層に大きな違いが見られ、賛成派はバイオテクノロジーへの関心度、認知度が高いという傾向が見られた。 今後より大きな経済的価値を持った遺伝子等が発見され、それらは特許による保護を受けることが予測される。長期的な目で見れば、こういった生命への特許付与は認知される方向に向かうことが大勢になりつつあるが、現時点では一般市民の多くが、動植物の生命操作や遺伝子等について特に大きな抵抗感を示している。研究発展のために特許保護は必要で有ることは否定できないが、NIH特許申請のような、特許の乱用をも招きかねない。また観賞用の熱帯魚に組み替え技術を用い、体に光る文字を浮き上がらすという完全に倫理観を無視した研究も始まっている。こういった経済性のみが先行した研究や、特許の乱用を防ぐためにも、より多くの人がこの問題に目を向け、世論が今後の特許政策等で反映されることを期待する。 (英文) A survey made among Japanese public including college students in natural science major indicated an impression on stagnant public awareness in the area and on poor capacity building at the higher education and very low motivation of students in Japan. High proportion of the college students at so-called prestigeous national and private universities do not recognize or have perception on the significance of the IPR issues on biotechnology and genetic resources on which they major. Overall, there is more perception than previous survey mabe by Macer in 1991.
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