多発性腎血管腫の1例
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概要
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53歳男.患者は超音波検査(US)およびMRIで内部不均一,辺縁不明瞭な直径4cmの右腎腫瘍を認め,排泄性尿路造影では右中腎杯に陰影欠損が認められた.単純CTでは腫瘍は腎実質とiso-densityで境界不明瞭かつ近接する石灰化像を認めた.右腎摘除術を施行したところ,集蔟する大小不同6個の腫瘍がみられ,病理組織学的所見では海綿状で核異型性のない血管の増生を多く認めた.更に内皮細胞の腫大,拡張を伴う毛細血管の増生も混在し,血液が鬱滞し赤血球を多く確認された.一方,平滑筋・脂肪組織・血管周囲細胞の増生は認めず,腎血管筋脂肪腫とは異なっていた.また散在性に石灰化像を認め,腫瘍に被膜を認めるが腫瘍根部では被膜を欠き,腎実質との境界線は明瞭であった.以上,海綿状血管の増生を多く認められたことから本症例は多発性海綿状腎血管腫と診断された.術後は経過良好で,2年経過現在,再発は認めていないA 53-year-old man presented with a right heterogeneous renal tumor detected by ultrasonography (US) on a routine health check. He had no complaint. Computed tomography (CT) revealed a 4 cm-diameter heterogeneous tumor located near a calcification of the right kidney, which was not so enhanced. Subsequent magnetic resonance imaging (MRI) and angiography could not rule out the malignancy of the tumor, so we performed total nephrectomy. Pathological diagnosis was multiple renal hemangioma. Multiple renal hemangioma is a rare disease, being the second reported case in the Japanese literature.
- 泌尿器科紀要刊行会の論文
著者
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