15世紀のメディチ家邸内における絵画--「祈念図像」から「美術品」へ
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概要
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この論文は、15世紀に作成された四つのメディチ家の財産目録をもとに、この世紀を通じてフィレンツェ貴族の個人邸宅における美術作品の性質が、宗教的慣習に結びついた「祈念図像(devotional image)」から、展示や鑑賞の対象として意図された「美術品」へと移行していった可能性を検討しようとするものである。これらの財産目録における絵画作品についての記載方法、また、判別可能な場合にはそれらの部屋毎の配置の確認を通じて注目されるのは、15世紀の間に、メディチ家において所蔵されていた絵画作品の形態と主題が、典型的な宗教図像から多種多様なものに変化している点、またそれら多種多様な美術品が、各部屋にいわば混合された状態で配置されるようになっていった点である。ここでは、絵画作品を中心に、それらが15世紀を通じて、鑑賞・展示の対象としての役割を増大させていったと考えられることを指摘していく。
- 弘前大学教育学部の論文
弘前大学教育学部 | 論文
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