イネの栽培を取り入れた総合的な学習の試み-土のない学校での実践から-
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「食」に関して、生産者と消費者のつながりが、見えにくくなっていると言われて久しい。共働きによる調理家事の簡素化、ファミリーレストランなどセントラルキッチン方式で、供されることが多い外食産業の繁盛、デパ地下などでもてはやされる「中食」など、消費者が、自ら食材に手を加えて調理することから離れていく流れは、加速度的に広まっている。さらに、「食」に関しては「食べ物」そのものだけでなく、「食べ方」などの「食べ物」と「人間」を直接的に結びつける営み自体が、従来の食文化を崩壊させながら、悪化の方向に向かっている。このことは、子どもたちも同様であり、偏食を超えた超偏食を抱えた子、食事の量を適切にコントロールできないために肥満傾向にある子、家庭の事情で夕食が「孤食」にならざるを得ない子等々、負のキーワードと密接に関係する食生活を送っている子どもたちが存在する。これらは、危急の問題として、決して看過できない状況にある。加えて、「食べ物」を大量生産の工業製品と同義的に見なしている子どもも多い。特に、本研究で取り上げる小学校学区のように生産緑地が皆無の都市中心部に居住している子どもは、日常の生活の中で農林水産業の存在を身近に感じる機会がないため、生産者と消費者とのつながりを意識することは非常に難しい。一方で、歪んだ「食」と社会の関係を正常化すべく、確実な流れも僅かではあるが、派生しつつある。近年の無(低)農薬有機栽培が歓迎される傾向に関連し、食料生産の分野では、有機JAS規格が制定され、他にも小売業界によるトレーサビリティの導入の動きなどが進みつつある。筆者らは、このような現況を踏まえた上で、持続可能な社会を創造するためには、私たちの健康や暮らしと最も密接に関係している「食」について、追究する学びが大切であり、未来社会の構成員の一員としての子どもたちを、あるべき姿の食について自分なりの考えをもてるように育みたいと考え、イネの栽培活動を取り入れた総合的な学習の時間(以下「総合」) の単元「コメコメ研究所」を開発した。本報告では、東京都のA小学校で、行ったその学習の概要と学習の過程で、見られた変容のいくつかを報告する。
著者
関連論文
- イネの栽培を取り入れた総合的な学習の試み-土のない学校での実践から-
- 技術分野における環境教育について
- 49 落花生葉の睡眠運動の品種間差異(予報)
- 障害児学級における食と農をテーマにした総合的学習の試み
- 東京近郊の環境教育施設における栽培活動の一例
- 環境教育施設における体験的な学習の基礎的研究--ハンズ・オン(hands-on)とインタラクティブプログラムを中心に (特集 教育改革と教育学部(3)新しい教育システムとネットワークの構成を視野に入れて)
- 都市近郊の参加体験型環境教育施設における栽培活動に関する考察
- 水稲葉身の葉面積当り含水量の日変化について
- 47 水稲葉身の含水量と環境条件との関係 : 第3報 葉身の葉面積当り含水量およびその日変化について
- 水稲葉における気孔の開閉と環境条件との関係 : 第3報 異なつた葉位の葉身における気孔開度およびその日変化の相違について
- 水稲葉における気孔の開閉と環境条件との関係 : 第2報 気孔開度の日変化について
- 32 異なる土壌水分下における落花生の地上部、地下部の相互関係(I)
- 83 日中における落花生小葉の閉合運動について
- 114 落花生幼植物における根毛の発生と土壌水分の多少との関係
- 62 落花生葉の就眠運動について(I)
- 86 落花生の登熟に関する研究 : 第4報 根,子房柄などにおける土粒の附着について
- 85 落花生の種子または出芽直後の花芽分化について
- 72 落花生の登熟に関する研究 : 第3報 各器官における表層組織について(I)
- 71 落花生の登熟に関する研究 : 第2報. 文献に見られた落花生の根毛およびその類似組織について
- 95 落花生未熟種子の休眠覚醒 : 第3報 エスレル、ウスプルン処理が生育・収量に与える影響
- 94 落花生未熟種子の休眠覚醒 : 第2報 各種処理の休眠打破効果
- 93 落花生未熟種子の休眠覚醒 : 第1報 発芽試験の方法について
- 58. 水稲葉身の含水量と環境條件との関係 : 第2報 葉身の乾物重当り含水量およびその日変化について.
- 57. 水稲葉身の含水量と環境條件との関係 : 第1報 含水量の測定法について
- 33 水稲葉における気孔の開閉と環境条件との関係 : 第2報 気孔開度の日変化