産業別の開業率に対する地域要因の影響 : 47都道府県データによる製造業とサービス業との比較分析 <論説>
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概要
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新規開業の促進は、地域の保有する資源を活かした内発的な産業振興策のひとつとして注目され、重要な政策課題となっている。地域において新規開業を効果的に促進していくためには、開業に影響を与える地域要因を把握し、それを踏まえた対応が求められる。国内の先行研究では開業要因の産業別差異に着目した研究が少ないことから、本論文において新たに製造業とサービス業との比較を中心とする定量分析を行った。その結果、製造業とサービス業の両産業において需要規模が開業率に対して正の影響を与えることが明らかになる一方、製造業では需要成長の影響が弱くコスト要因が負の影響を与えること、サービス業では集積効果の影響が強まっていることなど産業固有の特徴も明らかになった。さらに我々はサービス業の個別業種を取り上げ、分析を行った結果、専門サービスでは同業種集積が、事業サービスでは異業種集積が開業に強い影響を及ぼす傾向にあることを示す結果を得た。この結果はサービス経済化が進展していく中、人口や事業所が集積し、集積効果が期待される大都市地域とこれらの効果が期待できない地方との間で開業格差が拡大する可能性が高いことを示唆している。The importance of new firm formation has long been discussed in the literature of traditional regional science and urban economics. The results of numerical empirical studies show that the new firms create jobs, stimulate technological progress, and contribute to regional economic growth. Therefore, the new firm formation is an important policy issue for each region. Though the empirical studies demonstrate the determinants of spatial variations in new firm formation, almost all literatures neglect the difference of the determinants across industries. We analyze the determinants of regional variation in new firm formation by industry using the 47 prefectural data in Japan. The results of our analysis show the following evidences; 1) gross regional expenditures (GRE) is the factor promoting the new firm formation in all industries, but impact of GRE greater in service sectors than in manufacturing sectors; 2) the average wage is the important factor in manufacturing sectors, while the factor is not significant in service sectors; 3) the industrial agglomeration contributes to stimulate the new firm formation in service sectors.
- 広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センターの論文
- 2007-03-30
広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センター | 論文
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