PCBsの単回経口投与によるマウス肝臓中での代謝
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概要
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有機塩素系農薬やPCBsなどの化学物質は広く環境中に分布し、食物連鎖によってより高次の生物に蓄積することが知られている。これらの化合物の中にはエストロゲン作用や催奇形性、免疫能の低下をひきおこす原因となる物質も含まれており、野生動物やヒトへの影響が懸念されている。これらの化合物の生体中での蓄積や代謝についての特徴を把握することは、化学物質の暴露による影響を予測する上できわめて重要なことと考えられる。PCBsは理論的に209種類の異性体・同族体が存在する。PCBsは多成分からなる混合物として製造されたため、その製品中には約140種類の異性体・同族体を見いだすことができる。日本では鐘淵化学のカネクロールKC-300、KC-400、KC-500、KC-600が主なPCBs製品であり、これらの製品の組成はドイツやアメリカで製造されたクロフェンやアロクロールなどのPCBs製品とほぼ同等であることが知られている。環境を汚染しているPCBsはこれらのPCBs製品であるが、高次の生物に残留しているPCBs組成はその起源となるPCBs製品とは異なったものとなっている。これは食物連鎖の末端から順次高等な生物に取り込まれていく過程で、体内で誘導される薬物代謝酵素チトクロームP-450群によって代謝されていくためである。北極圏に生息するタラ、アザラシ、シロクマは垂直的な食物連鎖の典型であり、それぞれの体内に残留するPCBsは複雑な組成から単純な組成に変化している。暴露源のPCBs組成と生物に残留するPCBs組成の両方を測定することによって、それぞれの生物に固有の薬物代謝能を知ることができる。また、生物体内に残留しているPCBs組成を調べることにより、汚染源のPCBs組成を推定することも可能であると考えられる。本報では組成が既知のPCBsとしてのKC-300、KC-400、KC-500、KC-600を含むコーンオイルを調製し、これをマウスに一回、経口投与し、肝臓に残留するPCBs異性体・同族体の濃度と組成を解析することによって、PCBsの化学構造と代謝の関係を明らかにすることを目的とした。
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