知的障害児における積木模様構成活動の発達的特徴 : 発達神経心理学的観点からのアプローチ
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概要
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脳損傷者の構成活動に関するLuriaらの研究に示唆を受けた我々は、「コース立方体テスト」事態における知的障害児の構成活動を、「解決できなかった課題を解決に導くにはいかなる援助を与える必要があるか」の観点から、解析を試みてきた。その結果、以下のことが明らかになった。1)知的障害児のパフォーマンスレベル(教示以外の援助がない事態での成績)は、一般に、MAの増加と共に高まる傾向にあるが、個人差が大きい。同一MAレベルの普通児と比較してみると、約70%の者が普通児の示す範囲内に位置し、必ずしも低いレベルにあるとは言えない。2)知的障害児では、解決不能であった課題を解決するためには、空間的な分析・操作の成分に向けた援助だけでなく、活動全体を企画・制御する操作成分に向けた援助まで必要とする者が、CA、MAレベルにかかわりなく多い(普通児では、後者の援助まで必要とする者は、6〜11歳70名中、一人も存在しなかった)。3)また、同一MAレベルにある場合でも、異なるタイプの援助を異なる程度に必要とすることが多い。その様相に従って分類を試みたところ、以下の5タイプに分けることができた;同一MAレベルの普通児と差異のないタイプ(47%)、同一MAレベルの知的障害児に比べかなり低い成績を示し、必要とする援助の量も多いタイプ(16%)、空間的分析・操作成分に対する援助が有効なタイプ(4%)、企画・制御成分に対する援助が有効なタイプ(2%)、分類不能(33%)。以上の結果は、知的障害あるいは発達障害の診断に、「必要な援助の量と質」の観点を含むべきであることを示唆するものである。
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