フィラリア旧流行地,長崎県五島の2地区住民のフィラリア抗体価と成人T細胞白血病ウイルス抗体価との関連について
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概要
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わが国におけるフィラリア症の新しい感染は、1976年の鹿児島県の報告を最後に、現在は全く消滅したものと考えられる(鹿児島県衛生部報告、1980)。しかし、かつては青森県以南の日本各地に、フィラリアの散在した流行地があり(佐々、1962)、特に、南九州とその離島に浸淫が著しく、新しい感染は現在なくなったものの、象皮病、陰嚢水腫、乳糜尿などのフィラリア症で、今なお苦しんでいる住民は相当数認められている。われわれは、日本各地の旧フィラリア流行地の住民について、その臨床症状の有無及びフィラリア仔虫(Mf)保有の状況について再調査し、併せて血清疫学的調査により、フィラリア流行の終焉の時期を推定してきた。前回の福島県勝山地方の調査(吉村ら、1979)に続いて、今回は、長崎県・五島の2地区、長手及び大宝地区の各住民について、フィラリア症についての同様の調査を行った。なお、大宝地区は、ジエチカルバマジン(DEC)による薬剤治療により、また長手地区は、媒介蚊の駆除によって、1971年にはそれぞれ新しいフィラリアの感染から免れた地域である(Omori et al., 1972)。Goto Islands belong to Nagasaki Prefecture,and bancroftian filariasis had been endemic in these subtropical islands. For about 20 years,we have carried out the eradication program of bancroftian filariasis in two villages,Nagate and Daiho Village of Goto Islands. The eradication program was planned mainly through control of vector mosquito in Nagate Village and through treatment of persons with drug in Daiho Village. As ar esult of this program,no new filaria infection was found recently in these areas. On the other hand,Goto Islands are known as endemic areas of adult-T-cell leukemia (ATL). In this time,we have carried out a seroepidemiological study,and found that the groups of persons with positive A TLA antibody had significantly higher filarial antibody titre than those of persons with negative ATLA antibody in Nagate and Daiho Village. Thirty-four persons who were recorded as microfilaria carriers about 10 years ago showed higher positive rate of ATLA antibody than that of the others in Nagate Village. These data suggested that the filarial antigen stimulation might act as a factor in ATLV infection and/or proliferation among inhabitants in the endemic areas of filariasis and ATL.
- 日本熱帯医学会,Japanese Society of Tropical Medicineの論文
- 1983-12-15
著者
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