農村景観の特性 -安曇野景観の価値と地域ブランド-
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概要
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本稿の目的は、人々の安曇野の景観への価値づけと所有観から農村景観の特性を明らかにし、地域ブランドとしての景観の形成、維持について検討することである。分析は、安曇野市民と、安曇野に住んでいない一般市民の比較によっておこなった。分析結果から、以下の3点が明らかとなった。第1に、安曇野市民か否かの立場の違いに関係なく、多くの人々が安曇野の景観に価値があるという評価を共有している。第2に、所有権と発言権について、安曇野市民は広く人々全体に権利があると考える傾向があるのに対して、一般市民は逆に安曇野市民や安曇野市に権利があると考える傾向がある。第3に、所有権を持つ主体には2つのタイプがあり、安曇野の土地を所有するあるいは安曇野に住んでいる人々と、安曇野とは関連の薄い人々に分けられる。前者に対しては、所有権があれば発言権もあると考えている人が多いが、後者に対しては所有権を持っていても発言権はないと考えている人が多い。つまり、安曇野の景観との関係のあり方,景観との距離によって、景観に対する所有権、発言権の考え方が異なり、また景観に関わる主体の所有権、発言権のあり方も異なることが明らかとなった。以上から、景観の形成、維持のためには、いかにして地域外の人々を取り込んでいくかが課題であり、それは地域ブランド構築においても同様であることが示唆される。
- 2008-12-31
著者
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