インターロイキン-2(IL-2)の奏功したインターフェロン-α(IFN-α)抵抗性腎細胞癌の1例

概要

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71歳女。体重減少, 発熱を来たした。腹部CTで, 右腎に長径7cm, 浸潤性に発育した腫瘍を, 横隔膜以下の下大静脈内に腫瘍塞栓および多数の腎門部, 傍大動脈リンパ節転移を認めた。胸部CTでは, 両側肺野に多数の小転移巣および気管支分岐部, 肺門部等の縦隔リンパ節転移を認めた。腎細胞癌T3bN2M1と診断し, 経腹的右腎摘除術, 腫瘍塞栓摘除術, リンパ節郭清を施行した。病理組織像で, 異型性の強い大型の核を有する淡明細胞が胞巣構造を形成し, 副腎および腎周囲脂肪への浸潤を認めた。術後20日目にインターフェロン-α(IFN-α)療法を開始し退院した。3ヵ月目のCTで新たに径5cmの肝転移巣が出現し, 肺転移巣も不変であった。IFN-α療法無効と判断し, インターロイキン-2(IL-2)療法に変更した。肝転移巣は著明に縮小し, 肺転移巣, 縦隔リンパ節転移は消失した。IL-2療法を追加しても残存した肝転移巣にはラジオ波凝固術を施行した。術後5年が経過し, 再発転移は認めなかった。
泌尿器科紀要刊行会の論文