会陰部-陰嚢内に発生した悪性中皮腫の1例

概要

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42歳男。患者は会陰部～陰嚢内にかけての腫瘤を主訴とした。骨盤部CT検査では会陰部膿瘍が疑われ, 腫瘤の穿刺ドレナージを施行したが, 内溶液は血性であった。その後, 穿刺部から200～300ml/日の出血が続き, 内陰部動脈末梢に血管の増生を認めたため, 腫瘤は腫瘍性病変の可能性が高いと判断し, 内陰部動脈塞栓術の後, 会陰部・陰嚢内腫瘍摘出術が施行された。病理組織学的所見で上皮型の悪性中皮腫と診断され, 術中所見では腫瘍は不完全切除の可能性が高いと思われたものの, 病理学的所見では切除断端陰性であり, 術後は補助療法なしで経過観察とした。しかし, 術後2ヵ月経過で局所再発を来し, 再発部位からは高度の出血がみられ, 頻回の輸血を必要とした。再手術を施行したが, その後も再発を繰返し, 初診から6ヵ月後に患者は死亡となった。尚, 本症例では腫瘍は会陰部・陰嚢内の正中に位置し, 両側の精巣, 精巣上体, 精索への明らかな浸潤は認めず, 従来の報告にある発生部位とは異なっていた。このような部位に発生した悪性中皮腫の我が国での報告は2例のみであった。
泌尿器科紀要刊行会の論文