腎癌術後16年目の晩期再発および遺残尿管移行上皮癌の1例

概要

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66歳男。16年前に左腎悪性腫瘍の診断で腎摘除術を受けていた。今回, 肺癌検診で胸部異常陰影を指摘され, 全身検索で左遺残尿管腫瘍を疑われ当科紹介受診した。胸部X線で左肺門部近傍に2cm大のcoin lesionを, CTでは同部位S4に結節影を, 左S6と右S3に小結節影を認めた。腹部造影CTでは膀胱左側に造影効果を伴う腫瘍を認め, 同部位から頭側に連続して拡張した遺残尿管腫瘍を認めた。既往腎腫瘍の詳細は不明で, 腎盂癌術後の遺残尿管再発および肺転移と考え, M-VACによる術前化学療法に引き続き, 左遺残尿管全摘膀胱部分切除術を施行した。病理所見は移行上皮癌で, 肺転移巣は手術適応なしと判断され同化学療法を継続した。術後2年目に肺転移巣の増加・増大傾向を認め, 気管支鏡下肺生検を施行し, 組織像より淡明細胞型腎細胞癌と診断された。最終的に, 腎癌肺転移および遺残尿管移行上皮癌と診断し, IL-2およびIFNαによる免疫療法を開始し, 外来で経過観察中である。
泌尿器科紀要刊行会の論文