皮下腫瘤で発見された広範囲後腹膜膿瘍の1例

概要

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69歳女。患者は下腹部腫瘤, 尿量減少を主訴とした。腹部CTでは左腎盂の拡張と, 傍腎領域から骨盤領域にまで広がり, 恥骨上部の高位では右側腹壁皮下にも進展しているlow density areaが認められた。また, KUBでは左尿管結石が確認され, 更に超音波では左水腎症と腎周囲のhypoechoic lesionとの交通が認められた。以上, これらの所見より, 本症例は左尿管結石に伴う左腎盂炎から後腹膜膿瘍を発症し, 膿瘍が左下腹部まで進展, 腫瘤を形成したものと考えられた。そこで, 治療として, 超音波ガイド下で下腹部腫瘤ドレーン留置術, および左尿管ステント留置術が施行され, 逆行性左腎盂造影では上腎杯からの造影剤が腎外へ流出するのを認めた。腫瘤内容液は膿性でクレアチニンであったが, 値は低く, 尿の腫瘤への流出を確認できなかった。インジゴカミンル静注により尿の腫瘤への流出が確認され, 術後1ヵ月のCTではlow density areaは消失していた。尚, 経尿道的尿管結石破砕術後に胃瘻を造設して厳密な栄養管理を行うことで, 以後, 膿瘍の再発予防につながった。
泌尿器科紀要刊行会の論文