初回前立腺生検陰性症例の臨床経過
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概要
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前立腺の疑いで針生検を行ったが陰性で,再生検等,その後の経過を観察できた高齢者99例を検討した.経過観察中(中央値:76ヵ月)において,血清前立腺特異抗原(PSA)値が持続的に高値,PSA velocity(PSAV)が0.75ng/ml/年以上,直腸診・超音波上の持続する異常所見を再検査基準とした.再検査は43例に適応された.再検査例のPSAVは0.991で,再検査非施行例の-0.012よりも高値であった.再検査施行例中,前立腺癌18例(41.9%)を検出した.PSAVは1.950で,癌陰性例の0.990よりも有意に高値であった.初回検査時に75歳以上であったのは19例で,経過観察中に脳梗塞1例,虚血性心疾患7例,多臓器癌5例の発症がみられ,4例が死亡した.10例に再検査を行い,4例で限局性前立腺癌を検出した.PSAVは前立腺癌検出の指標として有用であった.しかし,高齢者の余命,癌検出までの期間,他疾患発症の可能性を考慮すると,高齢者への積極的な再検査の意義は限られていると考えられた
- 泌尿器科紀要刊行会の論文
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