伊豆半島南部の常緑および落葉広葉樹二次林における種組成の分化
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概要
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伊豆半島から関東地方南部の二次林では,微地形の違いに応じて常緑広葉樹林と落葉広葉樹林の2つの林相がしばしば共存することが知られている。2つの林相の分化を種組成のレベルで把握することを目的として,樹芸研究所内の管理履歴の異なる広葉樹二次林の種構成を調査した。林冠型の分析を行った結果,調査林分は常緑型と混交型の2つの林冠型に分かれ,常緑型が南向き斜面や斜面上部に多く,混交型が北向き斜面や斜面下部に多いという傾向が認められた。各林冠の構成種を比較すると,常緑広葉樹と落葉広葉樹が常緑型林冠と混交型林冠にはそのまま対応しておらず,一部の常緑広葉樹は落葉型林分に多く分布していた。これらの常緑広葉樹は,シイ・カシ類などに比べて地理的分布域が北方まで伸びているという共通点を持った種であった。落葉広葉樹は,落葉型林分に多いパイオニア的性格の強い種と,林相に関係なく分布する萌芽力の比較的高い種とに分かれた。後者の落葉広葉樹は過去の薪炭林管理に反応した結果と考えられ,今後の遷移過程において衰退していくことが予想された。The species compositions of evergreen and deciduous broad-leaved secondary forests coexisting along microtopographical gradients were investigated in the southern part of Izu peninsula. Some evergreen trees, which may be relatively tolerant to low temperature, were biasedly distributed in the deciduous stand. As for deciduous broad-leaved trees, those which have relatively strong ability to sprout were distributed regardless of the stand type, whereas those which have more pioneering traits were biasedly distributed in deciduous stand. It is necessary to pay attention to these patterns of species composition in managing the secondary forests.
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