説明文を「正確に読み解く」学習から論理的な発信・交流へ ―「イースター島にはなぜ森林がないのか」(小学校六年)を例に―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年,学習者主体の言語活動を生かした「話す聞く」国語科学習が「伝え合う力を高める」目標の実践として広がり深まった。その結果,児童達は表層的な話す聞く活動はできるが,「学びの質的な評価・交流」という面,すなわち論理的に豊かに聞き関わる力,個性的な発信と受信・交流評価の面では課題が多いのが実情である。文部科学省によるPISA型読解力向上の提言と啓発は,こうした実践レベルでの教育課題を克服し,児童達に真のコミュニケーション・情報リテラシー能力を各教科で育てるための,国家レベルでの方策ともいうことができる。本稿は,「説明文を『正確に読み解く』学習から論理的な発信・交流へ」と題し,「イースター島にはなぜ森林がないのか」(小学校六年・鷲谷いづみ)を例に,児童達に求められているコミュニケーション・情報リテラシー能力を国語科の側から育成する授業モデルを提案したものである。説明文教材を「情報理解・判断・構成・発信・評価の一モデル」として位置づけ,段階的な学習過程論・学習シートの開発と活用・自己学習能力につながる「振り返りシート」による到達度・理解度のチェック,学びの一般化等の実践事例のポイントを述べた。 とりわけ,児童達の「正確で豊かな学びの質」を評価するために,まず情報を正確に(論理的に)「読み解く力=聞く力」が必要であること,また「話す聞く学力」は「読む聞く・書く力」等の各領域の関連を重視した方向が必要なことも実践的に論じた。これらの実践は文部科学省によるPISA型読解力向上の提言(2005)を,国語科の立場から実践・検証したものということができると考えている。
- 愛知教育大学教育実践総合センターの論文
- 2007-02-28
愛知教育大学教育実践総合センター | 論文
- 家族会への参加と引きこもりの改善 ―民間支援機関における質問紙調査から―
- 復唱法を生かした算数授業の創造
- 「ずれ」を生かした算数授業の創造
- 高機能広汎性発達障害の子どもの心理臨床査定についての一考察
- 児童虐待への現代的まなざし ―暴力はいかなる意味において問題なのか―