高品質緑茶生産のための遮光施設における温度環境の改善
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概要
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The shading treatment of tea plants for a few weeks before the harvest enriches tea leaves with free amino acids such as theanine and brings the flavor-rich quality of green tea. Especially, the first crop of tea which produced under the shading treatment is called Gyokuro and famous for its especially high quality. The production of Gyokuro is limited with only the first crop of tea, and the supply of Gyokuro is not enough for the increasing demand. Therefore, it is desired to produce the second and third crops of tea in the hot summer season, which has the flavor-rich quality similar to Gyokuro. However, there are difficulties in producing the flavor-rich green tea in the midsummer under the shading treatment, because of the excessively high temperature condition. The evaporative cooling treatment by sprinkling water over tea plants intermittently in the daytime dropped temperatures of leaves and the ambient air by 3°C, and further the radiative cooling treatment by opening the shade screen net during the nighttime dropped the temperatures by 2°C. Thus, these passive cooling treatments were demonstrated effectively to drop temperatures of leaves and the ambient air in the summer production of green tea.本研究では,遮光施設内を高品質茶生産に適した低気温で日較差大の環境にすることを目的として暑熱対策実験を行い,その効果を観測によって評価した. まず,被覆内の微気象環境を測定したところ,被覆内は十分に遮光されていたが,遮光資材はアルベドが 0.03と非常に小さいため日射を吸収し高温になり,施設内に対流熱伝達および長波放射による熱伝達が生じていた. 日中の暑熱対策として散水実験を行ったところ,散水後の施設内の気温および葉温が低下した.葉温および高度0.88m点の気温は散水前後で約2℃程度低下した.既設の灌漑用散水施設を利用して散水を行うと, 直接的に葉面温度を下げる効果と,細霧冷房と類似した気化冷却効果の両方が得られることがわかった.一度散水によって低下した葉温は,元の値に戻るまで30分~1時間ほどかかることから,葉温を低く保つために常時散水し続ける必要はなく,間断散水によっても 一定の施設内の冷却効果があると推察された. 夜間における温度低下手法としては,施設天幕を開放することによる放射冷却の促進を図った.天幕を開放した場合,日没後すぐに施設内の気温および葉温が低下し始め,葉温は夜間を通じて雰囲気温度よりも1 ℃程度低く推移した.また,天幕を開放しなかった場合と比較して葉温は約2℃低くなっていた.天幕を開放した場合には,被覆時には見られなかった逆転層の形成も確認され,天幕を開放することで放射冷却を促進し,施設内の気温および葉温を低下させられることが確認できた.また,日較差は拡大していたことが観測によって確認できた.
- 2008-10-29
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