地方自治体の漸進的費用削減と住民移動
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概要
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本稿では住民移動が存在する場合における地方自治体の漸進的な費用削減努力のインセンティブについて理論分析をした。最も高い効用が得られる地域に居住したい住民の移動があるときは、人口分布に過疎地域と過密地域が生じる場合がある。このとき、費用引き下げのインセンティブが過密地域の地方自治体にいつもあるとは限らないことが本稿の分析で明らかになった。この結果は、過密地域では、費用引き下げにより個人で得られる効用が上昇するために人口流入を招き、混雑現象を悪化させてかえって余剰を下げてしまう効果が強く働くことから導かれる。そしてこの現象は、費用引き下げのための投資(努力)費用が0の下でも起こり得る。この場合、費用引き下げを強制すると人口分布の歪みを悪化させ、社会的余剰を悪化させることになる。
- 法政大学経済学部学会の論文
- 2007-03-05
著者
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