脱官僚化・脱商品化と社会的協同のハイブリッド的展開--社会的企業分析の前提
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概要
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「社会的企業social enterprise」とは,「事業活動をとおして社会益=社会権の実現をめざすべく,市民社会で協同活動をする組織」である。それは,国家および企業に対する第3セクターとして,1990年代のヨーロッパ諸国において「社会的経済」と呼ばれてきた諸活動の経験ののち,90年代後半からは,失業・半失業を含む「社会的排除social exclusion」問題を克服するという社会的目的に,多様な協同的・組織的活動をもって取り組む活動として,EU にはじまる国際諸機関の政策に取り入れられてきている。一般に,現代社会において諸個人が参加して取り組む,社会的・公共的目的をもった協同実践には必ず学習活動が伴う。その教育学的意味を考察する前提として,グローカルな21世紀の代表的協同実践になるであろうと考えられる社会的企業を取り上げて,その展開条件を探る。焦点化するのは,官僚化・国家機関化および商品化・資本化傾向という2つ(厳密には4つ)の「同型化isomorphism」傾向を乗り越えようとする「脱官僚化・脱国家(行政)機関化」および「脱商品化・脱資本化」の動向とそれを捉えようとする理論である。これらの検討をふまえて,社会的企業の発展のためには,多様な社会的協同のハイブリッド的・構造的展開が必要であることを主張し,その分析のための理論的枠組みを提示する。
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北海道大学大学院教育学研究科 | 論文
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