絵画における一対多の視線の動きの表現
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概要
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本研究は,絵画を人間特有の身体性を含意した情報媒体であるという観点から,絵画で表された視線に着目した。この視線を絵画で表す場合,一対一や多対多で相互に交わされているある瞬間の静止した視線が表されるのが一般的である。しかし本研究では,絵画においては表すことが不可能と考えられる一人から複数の人へ(一対多)の動的な視線を,絵画と観察者の身体運動をシステムとして捉えることによって,運動視差を用いて江戸時代の我が国の絵画(襖絵)で表すことができることを明らかにした。また,この襖に描かれた人物の頭部回転角度は推定される角度よりかなり少ないものであった。しかし,人間の被験者を用いた顔の回転方向の検知の実験において,回転角が比較的大きい場合に実際の回転角度より知覚される回転角度の方が大きくなるという結果が得られた。よって,絵で表わされた頭部回転角度が小さいことは人間の知覚特性からみて理にかなっていると考えられた。
- 北海道大学大学院教育学研究科の論文
- 2005-12-20
北海道大学大学院教育学研究科 | 論文
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