さび病菌の細胞学的研究 (9) : ナシ赤星病菌さび柄子器の微細構造
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概要
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長世代種と短世代種のさび病菌の細胞学的な差異を検討するために、ナシ赤星病菌さび柄子器の微細構造を観察した。走査型電子顕微鏡でさび柄子器を外部から観察すると、口孔から多くの糸状体が突出しており、ナシ葉上にさび柄子が溢出していた。透過型電子顕微鏡でナシ葉表皮下のさび柄子器を観察すると、柄子器上部は口孔が表皮を押し上げ、クチクラを破って外部に露出していた。さび柄子器の外郭はフラスコ状で、不整形の菌体細胞層から成っていた。さび柄子器内部では、さび柄子器底部の菌体細胞層から生じたさび柄子梗の先端でさび柄子が形成されていた。すなわち、さび柄子形成部にくびれが生じ、その部分にさび柄子梗の細胞壁の一部と思われる層状構造がみられた。またさび柄子器周囲の寄生組織には、細胞間隙菌糸や吸器様の細胞内菌糸が認められた。菌体細胞層、さび柄子梗、さび柄子、細胞間隙および細胞内菌糸はすべて単核であった。As a part of our extended series of cytological studies on rust fungi, fine structures of pycnidia of Gymnosporangium asiaticum Miyabe ex Yamada on pear leaves were studied by scanning and transmission electron microscopy. Many pycnidia were observed on upper surfaces of pear leaves 10 days after inoculation. Numerous periphyses with smooth surfaces arose from the pycnidia and their basal parts were covered with abundant pycniospores. Pycniospores of ellipsoidal shapes had smooth surfaces. Transmission electron microscopy reveald that many periphyses had emerged outwards from the opening of pycnidial ostiole. Since no septa were seen in periphyses, they seemed to be unicellular. Pycniosporophores had arisen from the cell-mass at the basal part of pycnidium. Pycniospores were separated by septa from the pycniosporophores. At the neck-point where a septum had formed to separate a pycniospore from a pycniosporophore, cell walls of pycniosporsphores appeared degenerating to from a layered mass outside the neck-point. Intercellular hyphae were seen in mesophyll spaces and intracellular hyphae which were surrounded by an electron-lucent, encapsulation-like structure were observed in some mesophyll cells. All the fungal structures obseved in this study were uninucleate.
- 三重大学農学部の論文
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