沖縄産シリケンイモリより発見されたトリパノゾ-マの1新種Trypanosoma ogawai〔英文〕
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概要
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1976年6月,沖繩本島北部国頭村与郡とその近辺で採集したシリケンイモリTriturus pyrrhogaster ensicaudaの流血中から発見されたトリパノゾーマは,未知の新種であるので,Trypanosoma ogawaiと命名した.このトリパノゾーマは,鞭毛をふくむ平均体長48.7ミクロン,遊離鞭毛の平均の長さは,19.9ミクロン,平均体幅は,5.0ミクロンである.日本本土産のイモリT. p. pyrrhogasterからは,Trypanosoma tritonis Ogawa,1913が知られているが,T. ogawaiは,小さく,細長い別種である.世界の有尾類のトリパノゾーマは,今まで6種知られており,今回記載した種は,7番目の種である.この論文では,既知種全種の図と虫体の測定値をしめした.T. ogawaiの媒介者は,陸生のヒルの1種と考えられる.シリケンイモリの流血中でのT. ogawaiの不等2分裂についても報告した.この分裂により生じる娘虫体は,1方がエピマステイゴート型で,他方は,トリポマステイゴート型である.有尾類のトリパノゾーマの流血中における分裂は,今まで,全く報告されていなかった.今回観察された分裂の型は,ある種の爬虫類や鳥類のトリパノゾーマの分裂と類似しており,T. ogawaiの系統進化を考える上で,きわめて興味深い.T. ogawaiの和文の詳しい記載およびカラー図版は,著者が文部省成果刊行費を申請中の著書「寄生原生動物-その分類・生態・進化」(B5判,1600頁)の中で,紹介した.Trypanosoma ogawai n. sp. was discovered from the blood smears of adults Triturus pyrrhogaster ensicauda (Hallowell, 1860) collected in Okinawa Island. This trypanosome is a slender monomorphic species, measuring 48.7 microns in total length including a free flagellum (19.9 microns) and 5.0 microns in the width at the widest part. This trypanosome is well distinguishable from Trypanosoma tritonis Ogawa, 1913, described from Triturus pyrrhogaster pyrrhogaster (Boie, 1826) in Kyushu, and other known trypanosomes from newts in the small body size and the longer free flagellum. Type of division in this trypanosome is unequal binary fission, and one of daughter trypanosomes is trypomastigote form, but another is epimastigote form. The land leech, Haemadipsa zeylanica japonica, is the most suspicious vector for this new trypanosome.
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