日本語動詞文分析における「有界性」の有効性 : 意味的要件としての複数性をめぐって
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
従来、動詞文が表す動作・事態の終結に関する研究では、「限界性」の概念からの説明が行われ、大きな成果を上げてきた。しかし、動詞文の意味解釈には、限界性だけでは統一的な説明ができない現象が散見される。それは対象物の複数性などが事態の限界性解釈を含む文の文法性に深く関わる事例であるが、本来「数」の標示が義務的文法範疇ではない日本語においては、このような問題は捨象されてきた。本稿では、こうした事例を限界性という概念で説明することの問題を論じ、それにかわる概念として、動作の限界性、実態の複数性、経路の限定性をも射程に収める範疇横断的概念である「有界性」を導入する。有界性の導入によって、事態レベルの集結の問題に統一的な説明が与えられる。
- 2001-08-31
著者
関連論文
- 形容詞連用形による副詞的修飾関係--モノのサマの修飾関係を中心に (特集 日本語の形容詞とその周辺--意味・機能から)
- 意味的修飾に関する覚書
- 副詞的修飾関係の概念規定
- 日本語動詞文分析における「有界性」の有効性 : 意味的要件としての複数性をめぐって
- 「普通にかわいい」考
- 「向き」を表す副詞的成分をめぐって--「机に茶碗をさかさまに置いた」の成立条件
- 連用修飾と動詞--修飾の基本原理と関係構成の多様性から動詞句の意味を探るアプローチ (特集:日本語の最前線)
- 誇張表現としてのホド構文
- 複合動詞「V-すぎる」の意味解釈について
- 位置変化動詞の意味について--副詞句の解釈との対応関係と語彙概念構造
- 否定と共起した「指示詞+ほど」の用法について
- 連用修飾成分「ほど」句の用法について
- 「ほど」構文の解釈と主文の有界性について:述語動詞句の動詞分類を中心に
- 『現代日本語書き言葉均衡コーパス』にみられる副詞的修飾関係「赤くV」について
- 『現代日本語書き言葉均衡コーパス』にみられる副詞的修飾関係「赤くV」について