四倍体普通ソバ(Fagopyum esculentum MOENCH)および宿根ソバ(F. cymosum MEISSNER)の種間雑種における形態的特性
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概要
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四倍体の普通ソバ(F. esculentum)および野生宿根ソバ(F. cymosum)との交配により胚珠培養を経由して14個体の種間雑種植物を獲得した。 正常な生長を示す個体について組織培養にて増殖を行い,これら個体を系統とし順次順化した後に鉢上げして栽培が可能となった6系統について,1989年と1990年の両年にわたって茎葉,花器などの内・外部形態的特性を調査した。 胚珠培養によって得られた再生個体の幼植物の形態は,短縮した胚軸および長い子葉柄を持つ父本のF. cymosumに酷似していたため種間雑種であると判断された。 種間雑種の生育に関しては,両親と比較して,必ずしも良好とは言えなかった。また,短花柱花個体のいずれもが,長花柱花個体よりもわい性ないしは弱勢を示したことは,花型の発現と生育に遺伝的な関連があることをうかがわせた。 種間雑種は内・外部形態の多くが両親の中間的特性を示したが,特に葉の形態に関しては両親のいずれとも異なる特徴を持つ系統が出現するなど極めて変異に富んでいた。 茎および地下茎の形態については,種間雑種は木部の発達,デンプン粒の蓄積などの点で父本のF. cymosumの性質を有しており,また,花器および果実の形態は,両親の中間的特性を具えていた。 種間雑種においても外部形態的には正常な異型花柱花個体が分離したが,開葯が不完全であり花粉形成に異常があることが推察されたので,現在細胞遺伝学的観察を実施中である。
- 信州大学農学部の論文
- 1991-07-25
著者
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