多様な肺疾患の診断・教育を支える類似症例検索技術の開発(特別講演1,計算解剖モデルに基づく診断・治療支援,医用画像処理一般)

概要

論文の詳細を見る
本稿では,肺疾患の結節性病変,及び,びまん性病変を含むすべての病変を対象とした類似症例検索システムを提案する.検索システムの対象病変が増えた場合,システムが使用する画像特徴量の種類を増やして多様な病変に対応する必要がある.しかし,単純に画像特徴量の種類を増やすと,特定の病変の検索にしか寄与しない画像特徴量も増加してしまい,検索精度が低下する課題がある.この課題に対し,読影医の注目する画像所見に応じて画像特徴を動的に変更する類似症例検索手法を提案する.過去症例における読影レポート内の画像所見と医用画像から抽出した画像特徴との相関を事前にデータマイニングにより抽出し,読影時の入力に応じて画像特徴を変更して類似症例検索を行う.評価実験として,肺疾患1026症例を用いて類似症例検索を実施した.予め医師が設定した12種類の類似基準(画像所見カテゴリ)を用い,検索クエリと類似症例検索結果の画像所見カテゴリが一致した場合を検索成功とし,検索上位5件の適合率を類似症例検索精度とした.提案手法の検索精度は75.9%,比較手法の検索精度57.7%であり,類似症例検索精度が向上することを確認した.
一般社団法人電子情報通信学会の論文
2014-01-19