移植と最先端医療(4)1型糖尿病患者における膵移植

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インスリン分泌が廃絶した1型糖尿病患者において、インスリン注射は生命維持のために必要不可欠な治療法である.膵移植はインスリン分泌が枯渇した1型糖尿病に対して行われる根治療法であるが、臓器提供が少ないわが国では、糖尿病に対する膵移植が極めて少ないのが現状である.当院で行われた糖尿病性腎症患者に対する膵移植後の生存率および生着率を調査し、移植成績から膵移植の効果と問題点を検討した.,東京女子医科大学病院において、1990年12月から2014年1月までに、39例の1型糖尿病患者に対して膵移植が行われた.性別は女性23例、男性16例、膵移植時年齢は40±7歳、移植までの糖尿病罹病期間は27±6年であった.39例のうち膵と腎の同時移植が28例、腎移植後に膵移植が行われた例が11例であった.2001年以降に行われた脳死ドナーからの膵移植28例の3年生存率および移植膵生着率はそれぞれ100%、84%であり、インスリン離脱までの期間は平均103日であった.なお、膵腎同時移植23例における3年移植腎生着率は、95%であった.また、39例中3例において1型糖尿病が再発しており、全例がインスリン再導入、1例はインスリン分泌が完全枯渇していた.,強化インスリン療法によっても血糖変動が極めて大きい1型糖尿病患者の予後やQOLを考慮すると、今後わが国においても、糖尿病患者に対する膵移植をより積極的に考えていく必要がある.また、臓器提供数が少ない現状を考慮すると、現行の移植適応基準に加え、重症低血糖発作の有無や血糖の不安定性も考慮した患者選択が重要になってくるかもしれない.今後、膵臓移植数が増加していくことを期待したい.
2014-04-25

移植と最先端医療(4)1型糖尿病患者における膵移植

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