ケゼニゴケの精子形成における色素体および色素体DNAの動態
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概要
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コケ植物の精子の尾部細胞質には色素体が存在し,受精の際に,卵細胞に持ち込まれるという観察例がある.このことから色素体は両性遺伝をする可能性が指摘されていた.本研究では,ケゼニゴケの精子形成における色素体の動態を電子顕微鏡を用いて形態学的に追跡し,色素体DNAの観察に4'-6'-diamidino-2-phenylindole(DAPI)染色法を用いて,精子完成過程の観察を行い,色素体の父性遺伝の可能性を検討した.ケゼニゴケの精細胞はただ1つの色素体をもつ.色素体は形態的には精子の完成まで維持されるが,色素体DNAを示す蛍光輝点は精細胞から精子への形態変化がおこる際にみえなくなった.精子細胞質中の色素体は遺伝物質をもたない「もぬけのカラ」であり,色素体の細胞質遺伝に関与しないと考えられる.
- 日本蘚苔類学会の論文
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